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おもいきっても凡夫心

母と一緒に博多座で歌舞伎鑑賞をしてきました。2月と6月の博多座歌舞伎には母や妻とよく出かけます。デンデンという大太鼓の響き、甲高い能管の音色、華やかな三味線のばちさばき、テンポ良い大小鼓の音、長唄や浄瑠璃がたりなど、非日常を味います。今回は高麗屋(松本白鷗、松本幸四郎、市川染五郎)三代同時襲名興行。出し物は近松門左衛門作の平家女護島「俊寛」、魚屋宋五郎、春興鏡獅子、そして口上。どれも何度も上演された出し物ですが特に「俊寛」は私のお気に入りの一つです。今回はご祝儀出演の片岡仁左衛門さんの俊寛、さすが見事な熱演ぶりでした。この物語のテーマは「おもいきっても凡夫心」。いくら悟りきった人間でも追い詰められた極限では凡夫に等しい迷いを呈する、人間の本質は弱いものだというどうしょうもない心の叫びです。私は6年前に57歳でこの世を去った18代中村勘三郎と同じ年。勘九郎時代からの大ファンだったので、勘三郎が実際の鹿児島県喜界島で演じた「俊寛」を思い出しながらの鑑賞でした。それにしても観客の少なさにがっくり。これではいい役者、いい出し物は博多座では期待できません。残念です。日本の伝統文化にもっと興味を持ち、機会あれば積極的に触れてもらいたいものです。ハマると楽しくてしょうがありませんよ。

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